新撰組副長、土方歳三の朝は、頓所の裏手にある道場での竹刀の素振りから始まる。




ビュンッ




空気を切り裂く竹刀の音に、土方は集中を絶やさない。




と、カラカラと戸の開く音がして、土方はふっと素振りをやめた。




「…不知火か。」




「お早うございます、土方殿。」




そこにいたのは、さらしを巻いた着物を着くずした蝶。




「飲み物を。」




そう言って水と共に手ぬぐいを渡してくる目の前の女子を、土方はじっとみつめた。