謝らないでと言おうした瞬間、視界が歪んだ。


そして再び目を覚ますと見覚えのある天井が視界に映る。


まだ頭痛は治まっていないがゆっくり体を起こすと、そこが土方さんの部屋だとすぐにわかった。


私、帰って来たんだ。


ということはやっぱりあれは夢だったんだ。


壁に立て掛けられた血花月を見てふっと笑みが出る。


血花月が人間になるわけないもんね。


でも…


「私が生きてるってことは平助は…」


すると襖が開き、土方さんが立っていた。


「柚木…目が覚めたのか」


「はい。あの、土方さんすみませんでした。屯所に待機だと言われていたのに私ーっ」


土方さんはゆっくり私に近づき、そっと抱き締めた。


「無事でよかった。血まみれで倒れているお前と平助を見つけた時は焦った」


「土方さん…本当にすみませんでした」


体を離すと、土方さんは優しく微笑んだ。


「まあ、待機命令を無視したことはあとでちゃんと説教してやるから覚悟しろ」


いつもなら逃げたいくらい嫌な説教の二文字も今は嬉しく思える。


「あと総司と平助だが、一昨日の事が嘘みてぇにうるせぇから安心しろ」


土方さんの言葉に安心して涙が出た。