そして時間はあっという間に経ち、池田屋事件当日になってしまった。みんなは笑顔で大丈夫だと出ていってしまい、私は一人、土方さんの部屋にいた。


「こんなことになるなら、もっと歴史の勉強しとけば良かった…」


話し合いの後からずっと池田屋事件について思いだそうとするけど、全く思い出せない。確かに授業で聞いたはずなんだけどな…。


「血花月ごめんね。刀として役立てあげられなくて…」


近くに立て掛けていた血花月をそっと撫でる。その瞬間、血花月が赤く光った。


「役立てなくて、怒ってるのかな?ふふっ…」


ー池田屋事件ではな、あの新撰組でも何人もの死者が出たんだ。もちろん負傷者もな。


「な、なに…今の…」


急に誰かの声が頭に響いた。この声…。


ーみんなも知っている沖田総司は、この頃結核が悪化し、吐血をして戦線離脱。藤堂平助は額を切られたりとこの事件は新撰組にとって初めての大きな事件となったんだ。


日本史の先生の声だ。なんで…今思い出すの?今から行けば…間に合う?みんなが傷ついてる姿、見たくないよ。


「血花月、行こう。みんなのもとへ」


私は血花月を持って、屯所を飛び出した。


向かう先は、もちろん池田屋だ。