拷問部屋に近づくにつれ、悲鳴もよりいっそう大きくなる。その悲鳴だけで身体が強張る。


「長州は何を企んでやがる!!いい加減口を割りやがれ古高ぁぁぁ!!!」


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


土方さんの声!


拷問部屋に着き、思いきり扉を開けると血の臭いが充満していた。


うっ…。気持ち悪い…。


「柚木…お前がなぜここに…」


「古高さんにお話があって来ました」


「はぁ………はぁ………はぁ………」


古高さんは血まみれで、呼吸も上手く出来ない状態だ。
敵だとわかっているけど、これ以上傷つけちゃいけない。古高さん…後で手当てしますね。


「古高さん、祇園祭の前の風の強い日を狙って御所に火を放ち、その混乱に乗じて中川宮朝彦親王を幽閉し、一橋慶喜・松平容保らを暗殺し、孝明天皇を長州へ動座させるのが長州の目的なんですよね」


古高さんと土方さんは、私の言葉に目を見開いた。


「ここ………まで……か…」


か細い声で古高さんは呟く。


「土方さん、もう拷問はいいですよね?」


早く手当てしなきゃ!