そこまで口を開いた所で沢城さんの階に着いてしまっていた。ドアは既に開いていて、沢城さんがあたしから離れるとエレベータから出て行ってしまった。
あたしの階のボタンを押して。
どうして？何で？ばかりが頭の中をぐるぐるして回ってる。
でもきっとどうしてあんな事をしたのと聞いてもきっとあの人の事だ、
ただあたしが泣いていたからと答えるだけだろう。
そこには特別な感情は何もない、沢城さんはただあたしを慰めてくれただけなのだ。
そうだと決めつけてしまえばいいものを、あたしの中にいる、もう一人のあたしが“それだけじゃないかもしれない”なんてバカな事を考える。
ひょっとしたら..そんな事
絶対にありはしないのに..
