今、この状況が読み込めないあたしは何度も沢城さんの名前を呼ぶ。でも沢城さんはただあたしを抱きしめるだけで、何も言わない。
ずっと避けてたくせに。
どうしてそんなに優しくするの?
「どう..して?」
「お前が泣くからだろうが」
小さい声で呟いて、更に強く抱きしめられた。
「..す、みません..っ」
「何謝ってんだか」
「だって..」
伝わって来る体温が、温かくて、優しくて。
強いわけじゃない。でもちゃんとあたしをしっかりと抱きしめてくれる。
それが嬉しくて、あたしも沢城さんの背中に腕を回そうとする。


