甘くて切なくて、愛おしくて



その視線が痛くて、辛くて


つい、下を向いた。



沈黙が流れる中エレベータが到着した音が鳴り、ドアが開く。


と、同時にバッグに入っていた携帯電話が鳴りだした。


沢城さんと一緒になるのが怖くて、慌てて電話の通話ボタンを押す。



先に行っててもらおうとしたのに先に入った沢城さんがずっと開けて待っててくれる。


首を振っても何をしても、閉めようとしないので仕方なくあたしも中に入った。


それと同時だったと思う。



「聞こえてるの?」


久しぶりに聞く、もう一生聞くことはないんじゃないかっていうくらいの声に
体中が震えるのが分かった。



「あ、ハイ..」


「久しぶりね」


「あ、うん、久しぶり..」


何の用?なんて冷たく突き放せないのはきっとまだ何処かで期待してる自分がいるからなんだろうか。
でもやはりというか何というか、彼女からの言葉はいつも突然でそして残酷なものだった。