甘くて切なくて、愛おしくて




ふと想い出した、あの写真。


幸せそうに写る、沢城さんと、奥さんと、ぐっすり眠っているユウキ君。


ユウキ君が教えてくれた事が事実なら、きっと今でも沢城さんは奥さんの事をまだ..


「って何当たり前の事を考えてるんだろう」



お互い愛し合う事を誓ったんだよ、そう簡単に想いが消えるわけないじゃない。





エントランスに入り、エレベータのボタンを押して待っていると、コツっと靴の音が聞こえて振り返る。


どうしてこういう時に限ってこの人が来るんだろう。


振り返ってまたすぐそらしたらなんだか申し訳ない気がして小さく頭を下げると
沢城さんも頭を下げた。


何も会話はない。やっぱり..避けられてるんだ、と実感してしまう。


鏡のようになっているドアから見ても沢城さんはあたしを睨みつけるような視線で見ている。