甘くて切なくて、愛おしくて




一人で苦しかったんだね。辛い思いも沢山してきたんだね。



熱がある時でも一生懸命我慢してたんだね。




自分が風邪ひいたらお父さんが出かけられないって、そう思ったから。


だから平気なフリして部屋にこもったんだね。



そうすれば、誰も来ないって、そう思って。



「ちょっと待ってて、ユウキ君」



冷蔵庫から冷却シートを取り出してユウキくんのおでこに貼る。
沢城さんにも何度か電話を入れたけれども出ないのでとりあえず、留守電にメッセージを入れた。


そしてこれからどうしたらいいか考えたあたしは、再び携帯を持ち、
待たせている佐野さんの携帯に電話を入れた。




「佐野さん、今日車で来てますか!?」