甘くて切なくて、愛おしくて





会社から出て歩くこの道も


いつも乗る電車も



いつもとは違う感じがするのは、待っててくれる人がいるから、なのかな。



あの頃は諦めていた。


誰かが待っててくれるかもしれない、なんていう期待も、嬉しい気持ちも。



でも、今はとても嬉しい。


待ってくれる人がいてくれるのはこんなにも嬉しい事なんだって、

気付けた。





家に戻らずまっすぐに沢城さんの家に向かう。
預かっている鍵でドアを開けると、カレーのいい匂いが鼻をくすぐる。



「こんにちはぁ」


「おかえり..」