甘くて切なくて、愛おしくて



先月持ち上がったプロジェクトの仕事も無事終わって成功をおさめ、今は違う部署が懸命に頑張ってくれている。
あたし達が出来るのはプランを立てること。そこから先は違う部署に交代するのだ。だけれども、この仕事のおかげか、前よりもオフィス内が柔らかくなった気がする。


あたしも美香子も、佐野さんも、課長も、そのほかの人達も。



みんながやる気に満ちて、それだけじゃない、周りに対する優しさも出来てきた。


誰だって助けあっていかなければいけない、それは仕事でも同じことだ。


自分の担当の箇所だけを完璧に出来たとしてもそれは間違ってるんだということを


あたしはここにいるみんなに教えてもらった。




課長に事情を説明してあるからか、定時に上がらせて貰う事が出来た。



さっと、ユウキ君が待ってるし、早く帰ろうっと。荷物をまとめ終えて席から立ち上がると、近くから声が聞こえた。



「お疲れ様、加賀見さん」