甘くて切なくて、愛おしくて



朝仕事に行こうと支度を終えたあたしの所に沢城さんが態々やってきた。


意外と礼儀正しんだよね、この人。


お互いお辞儀し合って直ると、そうだと思いだしたように沢城さんが口を開いた。



「お前今日ユウキに晩飯作んなくてもいいからな」



言ってる意味が分からなくて首を傾げるあたしに、沢城さんは言葉を続ける。



「お前の飯、めちゃくちゃ不味いしな」


「う..そ、そりゃあずっと家事してきた沢城さんに比べたら上手じゃないかもしれませんが..」


「いや、かもじゃなくてヘタなんだって、気付けよ。大体お前自分で作った料理、食った事あんのかよ」


「そ、それを言われると..」


「お前、俺達を殺す気か?」


「わ、分かりましたよ!絶対に作りません!ちゃんと外食にしますっ!」