だけど彼の力にはかなわず、降りる人達に流されるように電車から
出てしまう。その周りの人達の乗り降りをしているうちに電車が閉まってしまった。
「なんだよ、あーあ、電車、行っちゃったじゃねーか。
お前、仕事に遅れたらどーすんだよ」
「そんな事言われたって..」
な、に?何なのよ、この人!!
ぎゅっと拳を作って今度は私が彼を睨む。
「た、たすけて頂いてありがとうございました!!でも
好きで痴漢にあったわけじゃないですし!そもそもあなたに助けなんか
求めてない..ですし!」
「ふーん」
今度はニヤニヤしながらあたしを見る。
その顔、本当に心底ムカつくんですけど!!
「それに、あたし!あなたが言わなくてもちゃんと
“止めてください”って言えました!」
「蚊が鳴くようなちっせぇ声しか出せなかったじゃねーか」


