甘くて切なくて、愛おしくて


気の抜けるような声に一瞬で思考回路が止まる。



ゆっくり振り返ると、そこには今あまり会いたくないオンナ。


「おう、早いんだな」


それだけ呟くと再び前を向いて歩く。


「はいっ!今日は残業ナシなので」


「鍵はちゃんと作ったか?」


「はい、管理人さんからスペアキーをかりて作って貰いました」



ジャーンと言う変な声を出してバッグから鍵を取り出す。その先にはオンナが好きそうなキャラクターのキーホルダー。..つか



「鍵二つともキーホルダーに付けて大丈夫なのかよ」


「へ?何が?」


こいつ、本当に分からねぇのか?

大きく息を吐いてそれを指差す。


「それ、鍵二つ付いてんだろ?それごとなくしたらどーすんだよ」


「あっ...」


「.....」


「....あーーーー!」