甘くて切なくて、愛おしくて



下校時刻はとうに過ぎ、静かになった職員室に俺の声が響いた。


自分の声で周りの教師たちが一斉に手を止める。振り返るとみんなが何故か俺の方を見ていた。



「な、何すか?」



不思議なのだ。だから自然と声が大きくなってしまったのだ。

先程自分は行かないと言ったはずなのに。

間違いなく伝えたはずなのに。

何処をどうしてこうなってしまったのか・・




「誰すか、勝手に参加に名前書いたの」



とりあえず近くにいる手の空いている教師に視線を向ける。



「あ、いや俺じゃないって~~」


そんな惚けた顔しててもお見通しなんだよ。お前が今日一日職員室にいたの、知ってんだからな、と心の中で吐き捨てる。


職員室後ろのボードは職員たちの連絡ボードになっており、各連絡事項の紙が
ボードに貼り出されている。そんな中、朝と放課後にこの紙が張り出されているのを何回か目にはしていた。


でも自分には関係ないことなので無視していたのに。