甘くて切なくて、愛おしくて



俺は息子がいるというのを学校の人間には話していない。
別に話をしてもいいんだろうが、ユウキが生まれたのは俺が大学を卒業してすぐ。それが赴任当時の校長にはあまりいいように思われてなくて、他の先生には絶対に内緒にするようにと言われた。
それも今の校長は別に何も気にしてはいないと言ってくれたけれども。



まぁ教える側の人間ができ婚しちゃったなんて、教師としてあり得ねぇからな。



そんなわけで俺の事情を知っているのは今のところ校長くらいだ。





机に戻って一息ついたところでチャイムが鳴った。


小林先生は既に授業に向かったようで、顔を合わせずに済んだことが何よりも嬉しい。


さて、俺も行くか。


立ち上がって職員室を出た。







「あれ?」



異変に気が付いたのは放課後になってからだった。