甘くて切なくて、愛おしくて



突然の声に驚いて振り返ると、一昨年赴任してきた女教師が立っていた。


「あ、っと小林先生」


「こんなところで電話、ですか?」


「あぁ、ええっと、すみません」


「いえいえ、怒ってるんじゃないです。ただ、彼女に電話かなって思って」


「そんなのはいませんよ」



小さく笑いながら昨日のユウキの言葉を思い出した。


アイツもこういうのが気になる年頃になったんだな



「ふふ、今すごくいい笑顔。一体何を思い出していたんですか?」


「いいえ、大した事じゃないですよ」


「気になります」


手を口元に添えて小さく笑う。その姿はまさにあいつとは正反対。

あいつが手をあてて笑うとか..まぁ普通にあり得ねぇな。


「そうそう、来週歓迎会があるんですけど、先生参加されますよね?」