甘くて切なくて、愛おしくて




「沢城先生、今週の見回り、お願いしますね」



「わかりました」



やることはたくさんある。しなければならない事も山積みだ。

大変なのは知っていたけれどそれでもこの仕事を選んだ。

この道を進むのは幼い頃からの夢だったから。



同期の先生から資料を受け取り、チェックする場所を確認する。


毎週教師が放課後すべての校舎を見回り、点検をする。
そして今週の担当が回ってきた。今日も遅くなりそうだな。


ため息をもらしながら視線を携帯に送る。


留守電にでも入れておくか。


携帯を持ち席を立つ。職員室を出て廊下の隅に向かいながら自宅に電話をかけると、すぐに留守番電話につながった。


簡潔に用件だけを伝えて電話を切る。

今日も寂しい思いをさせてしまうと思うと胸が痛んだ。




「あれ?沢城先生?」