甘くて切なくて、愛おしくて



「なんてことするんですか?」


「お前が余計なこと言うからだろ」


「だって、本当のこと、ですもん!」


「うるせーよ」



それじゃあと頭を下げて今度こそ家をでていった。
ばたんと扉が閉まるのとともに、おとずれる静かさ。


やっぱりあいつはただうるさいだけの存在だな、


「父さん、どうしたの?」



ユウキが少し驚いた顔でこちらを見ている。どういう意味なのか聞き返すと


「だって、なんかいつもと違うもん。ご飯食べてる時も、食器洗ってる時も」

「そうか?」

「父さん、もしかして、あいつのこと・・・好きなの?」



意味の分からないことを言うと、ユウキはリビングに戻っていった。



そんな感情はとっくに捨ててるよ、あえてそう口には出さずに
俺もリビングへと足を進めた。