「うわ、この玉子なに!?すごいふわふわなんだけど!!」


「当たり前だろ?父さんの作るオムライスは世界一なんだ!!」



オムライスの卵を一口食べて大げさに表現する加賀見にユウキが呆れ顔で答えた。
ったくこれじゃあ子供が二人になっただけじゃねぇか。



「だって、これ!お店で出せますよ!!」

「だからうまいって言ってるだろ?お前の料理とは違うんだよ!!」



騒ぐ二人をよそに、俺は前にも一度聞いたことのあるその言葉を思い出していた。



「うん、やっぱり鷹耶のオムライスは最高だね!」

「そうか?別に普通だろ?」

「だってこれ、お店で出せるレベルだよ!」




・・もう思い出にしてしまった過去なのに。


生活の至る所でそいつは俺の行く手を阻む。


まるで忘れないでと言っているかのように。


忘れたら許さないとでも言っているかのように。



「あの・・大丈夫ですか?」