この刀は

鞘から抜けたことがない。


「ねぇ、この刀って何なの?」

「祖母の形見だ。」


祖母は随分前に亡くなっている。

その人が倒れたとき

預かった刀だ。


「形見…ねぇ。なんだか不思議だね、鞘から抜けない刀…。」

ついて来てと言った。


「? あぁ。」