表現する気持ち

でもこのネックレスは、不思議と惹かれてしまう。

特にクリスタルの中に、赤い石が入っているという珍しいのに、興味がわいたのかもしれない。

「…じゃあ、コレをいただきます」

「ありがとうございます」

彼女は立ち上がり、青年と共にカウンターに向かった。

「お客様は感情が昂りやすいですか?」

「えっ?」

ネックレスを包んでいた青年が言った言葉は、彼女にとっては身に覚えのないことだった。

「いえ、全然。あんまり感情が昂ると、倒れちゃうんで…」

「…そうですか。ならば大丈夫だと思いますが」

青年は笑みを浮かべたまま、包装し終えたネックレスを差し出した。

「感情はコントロールしてください。くれぐれも、あまり昂らせないよう、お気をつけてください」

「はっはい…」

お茶とネックレスの代金を支払い、彼女は店を後にした。

彼女が店を出て行くと、奥から3人が出て来た。

「久し振りの客だったな、ソウマさん」

最近の若者風の青年ことハズミが、ニヤニヤ笑いながら声をかけてきた。

「でもまたマカが怒り出しそうな品物を売ったんですね」

真面目そうな青年ことマミヤが、複雑な表情でドアを見つめた。