「あのネックレスはそもそも、持ち主の感情を吸い込み、力に変換するだけの物だったんですけどね」

ソウマは遠い眼をした。

「まさかアレほどまで激情家だったなんて、思いもよりませんでした」

「あの女の子、気が強いどころの話じゃなかったみたいだな」

「ハズミは気付いていたんですか?」

「まあ何となくは。病弱体質というわりには、不満バリバリって顔してたし。それが自分に向けてのものなのか、それとも他のモノに対してなのかは分からなかった」

「でっでも少なくとも、この店に来た時は前者だったんじゃないか?」

「マミヤの言う通りだと、オレも思う。けど調子付いてしまったんだな。自己反省よりも、責任転嫁することを覚えてしまった」

新聞をたたみ、ハズミは難しい顔をした。

「まあどちらにしろ、結末は変わんなかったと思うぜ? 他人に向かおうが、自分に向かおうが、どの道あの女の子は強い感情を持ち過ぎた。コントロールできなかったのは、彼女に非がある」

「そう言ってもらえると、少しは救われます。問題は…」

「マカ、だな」

「…ええ。今から来るそうです。この事件のことについて、聞きたいことがあると」