「♪恋しちゃったんだ~多分~…」
放課後、クラスでカラオケに行くことに。
本気で歌う藍を片隅に、あたしと是永は静かにジュースを飲む。
是永が気まずそうに話を切り出した。
「…で、いつから好きなの?」
藍がいるから気を使ったのか、名前は出してこなかった。
あたしは少し考えて、指を使いながら数えた。
「入学式からだから…1年と、少しかな」
「1年も…」
自分でも驚いた。
こんなに一途な恋は、久しぶりだ。
「ほんと、しつこい女だよね」
目を黒くして言うあたし。
でも今更、この想いを止めるなんて出来ない。
諦めるには…年月が多すぎたんだ。
「…良いんじゃないか?」
是永から意外な言葉が飛んできた。
「どうして?」
「俺も同じくらい長い間、片思いしてる人いるし」
そう言って是永はチラッとこちらを見る。
葵の目はキラキラと輝いていた。
「そうなの?誰?あたし、知ってる人?可愛い?どういう人?」
「一気に質問しすぎ!!本当女って、恋愛の話になると盛り上がるよな…」
確かに。あたしの場合は、他人限定だけど。
「でも…好きな人いるし…」
「…俺の好きな人も、そうだよ」
ーえ?是永も?
彼の視線が、こっちを向いた。
目を丸くして是永を見つめるあたし。
「??」
「どーすればいーんだよぉー」
是永は何か考え込んでうずくまってしまった。
同じ悩みを持つ人が他にもいたんだな、と感心しているあたし。
「葵も歌いなよー☆」
「あ、うん!!今いれるね」
本を使って曲を入れると、マイクを手にとって歌った。


