好きなんです

「フッ。今回は、もういいわ」

佳苗先輩がそう言った。

和佳奈は、駆け足で教室に戻る。

教室に戻ると、帰りの会は、すでに終わっていた。

新もいる。

気まずい・・・。

和佳奈は、何もないかのようにカバンの用意を始める。

「早く帰れー。下校時間だー」

隣にいる新は、用意を終えて教室を出た。

『さよなら』なんて言葉は、一言もなかった。

「はぁ・・・」

和佳奈は、ため息を着くだけだった。



−−−帰り道

新が男子友達二人と目の前を歩いている。

あれ?

佳苗先輩とじゃないんだ・・・。

それもそっか・・・。

でも、新のおかげで愛実先輩に電話せず済んでよかった。

・・・ありがとう。

和佳奈は、心の中で呟いた。

「なぁ。聞いてくれよ」

新が男子友達に話しかけている。

「あぁ?どぉした。新婚野郎ww」

「結婚してねぇよ」

「で?何?」

なんの話だろう?

和佳奈は、こっそり話を聞く。

「なんかさぁ。今日、佳苗先輩泣かせちゃったんだよね・・・」

「はいぃ!?」

「なんでだよ!?」

「まぁ、いろいろあったんだよ。でさぁ、佳苗先輩って俺との関係?って言うの?・・・本気じゃないと思うんだよね」

「お・・・おふぅ」

「なんか重いね・・・」

男子友達は、リアクションに困っている。

「俺ってどーすればいいんだ?」

「ぉうぇ!?俺らに聞かれてもなぁ」

「そうそう。俺ら彼女出来たことねぇし・・・」

男子友達は、沈んでる。

「でもさぁ・・・。いつも一緒に帰ってんだよなぁ」

「え?今日違くね?」

「今日は、たまたま『今日は、一緒に帰れないの。ごめんね?』ってメールが来たんだよ」

「マジか!?愛されとらんなぁ。お主よ・・・ww」

「俺らにも春が来たかッ!?」

・・・そうだったんだ。

まぁ。

そういうもんなのかな?

「それでも、俺は、佳苗先輩が好きなんだよ」

ズキッ

胸が痛い。

『それでも、俺は、佳苗先輩が好きなんだよ』か・・・。

敵わないや。

和佳奈が新を想っている以上に新は、佳苗先輩を想ってるんでしょう?

悔しいよ・・・。

三角関係は、意外にも絡まっているんだね・・・。

そんな単純な話じゃないんだね・・・。

新・・・。

かわいそう・・・。

新が思ってても佳苗先輩としては、遊び。

・・・ただの遊び。

「俺はさぁ。彼女とかいないから何とも言えないけどさぁ」

「うん」

「本当のとこ、どうなのか聞いたらいいんじゃねぇの?」

「あぁ。俺もそう思うよ!」

「そうかなぁ・・・」

新は、迷っているようだ。

「分かった。そうする」

グサッ

和佳奈は、何かが刺さったような気持ちになった。