王女と王子


「座ろう?」


王子は川の近くに腰をかけ、王女を見上げました。


「あ、あぁうん…」



王女は座り、思いました。


なんで、こんなに胸が高鳴るのか。

何故、自分はこんなにも緊張しているのか。



「君、ミクって名前でしょ?」


ドキンッ―

名前を呼ばれ、さらに胸が高鳴りました。


「な、なんで知ってるの?」


そう問いかけると、王子は優しく微笑みました。



「君のことずっと見てたから」

「―――っ!!」


王子はこれまでにないくらい、顔が赤く染まりました。


「ははっ、顔真っ赤。…まぁ、本当は有名だったからね」

「有名…?」

「うん。…悪い王女って」

「…………」



何故か王女は、そのことを彼に知られたくありませんでした。


「…でも君、本当はいい子なんだよね」

「え?」


王子は王女の手を握りました。


「え、あの…」