抱きしめたまま寝ちゃいますか。
どうしてよいのやら。
とにかく私は全くと言っていいほど寝られなくて、このままでは休みの12時間睡眠が妨げられる、そう思うと体がひどく拒絶反応していた。
どうやら私は愛より睡眠らしい。
もう今日で一生分のどきどきを味わっているに違いない、というのは過言だけれど、もうかなり心臓に負担がかかっているはず。
そうは思っていても、いつのまにか疲れて寝ていた。
朝。
隣にいたはずの仂がいなかった。
もう起きたのか。
さすが慣れない場所では、私の朝は早い。
まだ8時じゃないの。
しかし仂が起きている以上、私が寝ているワケにはいかない。
床に足を着こうとしたとき、むにゅっとした生暖かいものを踏み付けた。
「ぎゃッ」
よくよく見ると、それは仂の背中で、なぜか床に俯せになっているのだった。
「そういえば寝相が悪かったんだった。」
小、中学校のときはよく起こしに行っていたが、確かに毎朝ベッドから落ちていたのだ。
このままほっといてもいいかもしれないけど、やっぱり恋人となった今、無下に扱うのは気が引ける。
「ろーくん、起きてよ。そんなとこで寝てたら風邪ひくよ」


