ひんやりとした風が足元を通った。
祥子が窓を開けてベランダへ行ったようだった。
星がきれい。
と、やけに騒いでいる。
彼女の許に行ってみると、満面の笑顔でこちらを振り返った。
「都会だから星は見えないかと思ってた」
「ここだって田舎だよ。つか風邪ひくから中に入れ」
「やーよ。」
言ったら聞かないのがこいつだった。
仕方なしにおれはしまいこんだ毛布をひっぱり出し、ベランダに戻った。
体をさすりながら見上げている祥子に、毛布を掛けようとしたが、いったい何がおれにさせたのか、肩をぴったりくっつけて、一緒に毛布にくるまっていた。
祥子は驚いていた。
「な、なに、よ」
「おれも見ようかな」
「だからって、ちちち近い」
あせっている祥子が、とても、かわいかった。
もっと、近くにいたい。
ずっと、、いつまでも
今以上に。
毛布を掛けなおすと同時に抱きすくめて、頬を寄せあった。
「大学、どこにするか決めたか?」
「まだ」
「じゃあ、」
「無理」
「まだ何も言ってないんだけど」
「無理ったら無理。私が馬鹿なの知ってるでしょ? だから同じ大学は無理。」
「努力しろよ。――じゃぁ、近くに女子大があるけど、どうする? 悪くはないレベルだし、あそこならおまえもねらえるだろ」
女子大ならヘンな虫を気にすることもないし、近いから一緒に
「変態」
気付けば祥子はおれから少し離れていた。
「私がいるってのを口実に女の子に囲まれたいだけなんでしょ。理系は男ばっかだもんね」
「なわけあるか!」
こいつマジでむかつく。
ところがこいつは笑っていた。
「ごめん、ジョーダンだって」
とは言うが、やはり離れたままだった。
無理に引き寄せるのもためらわれた。
「しょうこ‥‥」
「さむいし、中にはいろっか」
とかいいながら、まったくそんなつもりがないのは誰にでもわかる。
「祥子」
「ほら、もう寝よう」
「祥子」
「‥‥‥」
黙ってしまった。


