「…この席が不満なんだろ?」
またしても痛いところを
つかれてしまった。
実際問題、不満じゃないといえば嘘になる。
せっかくレストランで食事をするんだから、
夜景のよく見えるロマンチックな席で楽しみたい、
それが本音だ。
「…べつに不満だなんて。」
どうごまかそうかと考えていると…
「夜景のよく見える席は
またの機会に取っておけ。
今日は、おふくろのことを
報告しようと思って
レストランに呼んだんだ。
だから、落ち着いて話ができる、この席を予約した。」
わかったか、とでも
言いたそうな顔で
見つめてくる、葉山さん。
…そうだった。
わたし、お母さんのこと
すっかり忘れてた。
葉山さんは、お母さんとのことで
大変だったのに
席のことで
ブーブー言った自分が
恥ずかしくなった。

