「でも、本当は正反対。 正反対なんだよ。 あいつは、子供のときから みんなが抱いた勝手な 印象に振り回されて 生きてきた。 でもさ、あいつ 一つだけ譲れないもんが あったらしくてさ。 …出版社に、就職すること。 それが、あいつから出た 初めてというべき 意思だった。 だけど親父は、もっと上を 目指せって、認めなくて。 気づいたら、あいつ消えてた。