カップから口を放すと、 カップを元あった場所に、 置いた。 わたしのことを じっと見つめたあとで、 再び話しはじめた。 「…あいつは、 陽介はさ、 昔から誤解されやすかったんだよ。 友達からも、先生からも、 父親から、さえも。 クールで、何でも出来て、 一人が好きで。 みんな、陽介にそう印象を 抱いてた。 いや、抱いてるって 言った方が正しいのかな?」 言ったあとで、ふふっと 柔らかく笑った。