「…わたしは、情報を流す
側につきたかったの。
もう情報に、周りの空気に
流されるのも
うんざりなの。
流されるくらいなら、
流す側につきたい、
それだけ。
正直言えば、
どこの会社でも良かったの。
情報を流す側に
つくことさえ出来れば、ね。」
気づけば本当のわたしを
語ってた。
誰にも言うことなんて
なかった、わたしのことを…
「お前は、この仕事に
就いていながら
一番この仕事を
憎んでる。
…流されることよりも、流すことの方が怖い。
それは、お前が身を持ってわかっている。」
それだけ言うと、
わたしの手から
調べた資料を抜き取って
それをペラペラとめくってから
自分の調べた資料に
重ねた。
そして、なにも言わず
資料室をあとにした。