死刑囚と犬

小刻みな震えが止まらない。
そう言えば少し熱があるような気がする。


耳としっぽは伏せたまま。


なすすべもない男は
大きな不安と恐怖に駆られた。


「おい看守!返事しろ!」


男は大声を上げる。


この牢獄に来てから
初めて大声を上げる男。



感情を露わにして
男はなおも叫ぶ。