死刑囚と犬

「すべてを奪い殺してくれと言う
彼の願いを聞いてやりたかったが


それは出来ない相談だった」


カウンセラーは落ち着きを取り戻し
男を放した。


ゴミの様に
床に横たわる男。



「それが今回の法改正です。
私は小躍りしましたよ。


これで彼の思いを
叶えることが出来る。


これで彼の心が少しでも
晴れてくれたら…」


カウンセラーはにっこりと笑う。


その笑いはカウンセラーが
この部屋に初めて来た時と


同じものだった。