死刑囚と犬

「何もない。


親や兄弟なんてどうでもいい。
財産もない。



好きな人はいたが
殺してしまった」



カウンセラーは弱り切った表情。

腕組みをしてしばらく
考えている。


そしてカウンセラーは
何か思いついたらしく


ドアの外に立つ看守に
何やら耳うちをした。