司会者の大袈裟な合図で、見合いパーティが始まった。
 芝純一は30名の女たちに、ざっと視線を走らせた。




 (獲物はお前か? それとも金ピカ女か?)




 ナンバープレートを胸に付け、プロフィールシートの交換。
 純一はさりげなく相手の女の手を握るようにして、それを手渡した。
 目星を付けた女にだけする純一のサインだ。

 時間は3分間。
 自己紹介にざっと目を這わせると、純一は職業と年収をチェックシートのスミに素早く書き込んだ。


 「女医さんですか。すごいですね」
 「父の経営する病院を手伝っているだけですから・・・」

 「あなたほどの人なら幾らでも相手はいるでしょう」
 「医者って職業柄、意外と普通の男性からは敬遠されるんですよ」

 「開業医の長女なら、医者同志で引く手あまたじゃないのですか」
 「そうですね。でも、中々ご縁が無くって。あっという間に30を過ぎてしまいましたわ」


 森下 芳恵。
 31歳。

 職業 医師

 年収 1000万円

 住所 枚方市。
 家族と4人暮らし。
 性格 のんびり、明るい。
 学歴 国立大卒。
 身長 160センチ。
 結婚歴 無し。