甘恋集め



次第にはっきりと落ちてくる記憶の波が、私を徐々に覚醒させていく。

「梅ちゃん、無理しなくていいよ」

両親や竜のご両親も私にそう言ってくれるけれど、一度解かれた記憶の扉を再び閉じる事はできなかった。

高校卒業前の悲しい出来事によって、私は記憶を失った。

あの日、コンビニから帰ってきた楓と家に侵入してきた男との争う音に気付いた近所の人たちが、男を取り押さえて警察に引き渡してくれ、私は救急車で病院に運ばれた。

そして、病院で目覚めた私には、記憶が一部欠けていた。

侵入してきた男に襲われた事。

引っ越しをしようとしていた事。

そして。

「ごめんね、竜の事、忘れてたね……」