【完】君しかいらない

幸い、庭におじさんが立っていて、国道に出る道を丁寧に教えてくれた。


あたしはすぐに女の人のところへ戻る。






「聞いてきましたよー……あれっ?」


「ホントに!?嬉しい~っ。今すぐでもいいわよ?」


女の人は、さっきとはガラッと違う猫なで声を出して、ウフフと笑っている。


…すごい変わりよう。


営業用なのかな……。


あたしが運転席の真横に立ってても、ご機嫌で笑っていて、あたしの存在に気付く様子もない。


「すぐって言っても…そっちに戻るのは、2時間後ぐらいになりそうだけど。昨日ね、あのあと急用ができて、ド田舎に来たはいいけど、迷っちゃって~。

そうなの、ナビがあればいいんだけど、ちょうど壊れてるのよねぇ~」


昨日……。


そっか、この人


依子に押されて怒って帰ってったもんね。


そのあとの話なのかな……。