【完】君しかいらない

「はーい。行こっ、奏太」


ユーリが俺の手を取るから、とっさにその手を払おうとしたら、オッサンの拳が飛んできた。


「お前も素直について行け!」


「ヤダっての!」


オッサンの拳をよけるために手を出したら、


俺をかばおうと間に入ってきたユーリの目に俺の手が直撃。


その瞬間、ユーリは大きな悲鳴を上げて床の上に派手に転がると、顔を手で覆って泣き叫びだした。


…ハハ、大げさな。


「お前も役者だな~」


俺がヘラヘラ笑う中、オッサンは青ざめた顔でユーリの顔を覗きこんでる。








「大丈夫か!?」


「痛い…痛いっ…目が…」


「ユーリ!ユーリ!!」


親子で迫真の演技を繰り返してるとしか思えない。


シラ~っとしてその場面をやり過ごしてると……。