【完】君しかいらない

ある日……


学校の帰り道、社宅前でその男の子と、男の子のお母さんがしゃべってるのを見かけたんだ。


男の子のお母さんは、その子と同じように全体的に色素の薄い、細くて綺麗な人だった。


お母さんにしがみつきながら、男の子は泣いてた。







『みんなが言うんだ、僕は日本人じゃないって……』


『日本で生まれて、こうやってここにいるんだから……あなたはちゃんと日本人なのよ?』


『でも、もう嫌だよ……。僕……ママの生まれた国に行きたい』


『そうねぇ……。だけど、ママの国に行っても、きっと同じことを言われるわ。だったら、ちゃんとここで胸を張って生きなくちゃ』