【完】君しかいらない

塾に到着したものの、前の講習が終わってないから教室が塞がってる。


クーラー効いてるし、自習室で本でも読むか…。


そう思って自習室に入る寸前、黒くて長い髪を垂らして、軽くて涼しそうな素材のワンピースを着た女に声をかけられた。


…誰だ?


そいつは不安そうな顔で、俺を見つめてる。


「安元くんっ、あの…志望校…どこですか?」


「…は?」


しまった。


この返し、やめよーって思ってんのに。


とっさに聞かれて、また言ってしまう俺。


案の定、目の前にいた女の顔が少し歪んだ。






「…突然こんなこと聞いて…すみません!あたし…数学のクラスが一緒なんです。よく安元くんの後ろの席に座ってて…って…そんなの知らないですよね!?」


今度は顔を真っ赤にしながら、必死にしゃべってる。


そういえば…


プリントまわすときに、見たことある顔かも…。