【完】君しかいらない

ケータイからは、あっくんの声の他に車の音や人の声が聞こえてくる。


いつも電話するのはもっと夜遅くだったから、こんな時間に電話するのは珍しくって。


「…まだ、外にいるんだね」


「あ…うん。ゴメン、今忙しいから。出るつもりなかったんだけど、間違って出ちゃってさ」


歯切れの悪い言い方。


最近ずっとそうだった…。


あたし、何で何も気付かなかったんだろう。


あたしに原因があるのかって、そればっかり考えてたけど…そうじゃなかったんだ。


彼氏のことを気にかけてあげるのが彼女なのに、全然できてなかった。


「忙しいときにゴメンね。友達に聞いたんだけど、お父さんが倒れたって…。あっくん、あたしにできることがあったら…」


「…別に、ないから」


え…。