【完】君しかいらない

「ブレーキ…な。どうだろな。…まぁ、それはないとは言い切れないかもな」


「やっぱり…そうなの?」


「小さい頃からやたら兄貴と比べられて育ってさ。最初から何でもできる兄貴に比べて、何度かやらないとできなかった俺のこと、親父はいつもバカにしてた」


「お父さんが…?」


「年の差あるから、俺ができないのは当然なんだけど。兄貴、子供の頃に結構大きな病気してな。それでも頑張ってるって、いつも誉められてた。だから自信もついて、親の期待を一身に背負った、絵に描いたような優等生になって…。

その反対で、俺は何やってもダメだって、いつも言われて育ってさ。だからかな…やる前に、ダメだなって思う癖はついたかも」


そうだったんだ…。


「安元くんは、昔から何でも器用にできる人なんだって思ってた」


「いや、全然?できることは真面目に取り組むけど、できないってわかったら…すぐに諦めるな」


「だから春奈のことも…すぐに諦めちゃったんだ?」


あたしがそう言ったら、安元くんは歩くのをピタリとやめた。


えっ…どうしたの?










「…振り落とされたい?」