【完】君しかいらない

いつもは怖いけど、今日はちゃんと話してくれるんだ…。


背中越しで、顔が見えないからなのかな。


それとも…こうやって密着してるから、お互い安心できてるのかも…。


いつものあたしなら、安元くんのちょっとした表情の変化にすぐビビっちゃって、話の腰を折りまくりかもしれない…。


「春奈とケンカ別れしたのは、どうして?」


「ああ…あれは。春奈だけは俺の性格のことをわかってくれてると思ってたのに、結局は他のヤツと同じなんだなーって思ってガッカリしたのもある」


「性格…って、感情をコントロールしちゃうっていうところ?」


「そ。しかもそれを、兄貴に相談してるし。俺をネタに春奈が兄貴にメールして、二人で盛り上がってんの見て、我慢してたモノがプツッと切れた」


「けど…前に春奈、言ってたよ。安元くんをバカにしてたわけじゃなくって、もっと分かり合うにはどうしたらいいか考えてたって…誤解されたままだから…って、気にしてた」


「へぇ…んなこと、お前に話してたんだ?」


「まぁね。だから…春奈も、安元くんと付き合ってるときは…ちゃんと、向き合おうとしてたんじゃないかな。気持ちも…揺らいでたと思うよ?」


余計なおせっかいかな。


あたしがそう言うと、今までしゃべり続けていた安元くんは、フッと口を閉ざしてしまった。