【完】君しかいらない

「だったら…いいのにって、何度も思った」


ドキッ。


安元くんがそんなこと言うなんて思わなくって、あたしの胸は一気に跳ね上がった。



「…………」


「アイツのことよく見てたから、余計わかるんだよな。ふとしたときの視線の先、ちょっとした表情の変化。…見てて痛いぐらい、兄貴を目で追ってる」


…それは、あたしも感じたこと。


数学の時間の春奈は、いつもと違う…恋してる女の子の顔になってた。


あたしが気付くぐらいだから、当然安元くんも、そのことに気がついてたんだね…。






「…アイツが俺のこと好きだって言うなら、信じようって…最初は思ってた。だけどやっぱそーいうの見てたら、何か虚しくなってきて…」


「安元くんは…春奈を、好き…だったんだ」


「…じゃなきゃ、付き合わねーし」


少しふてくされたように言う安元くんを、何だかカワイイって思っちゃう。