【完】君しかいらない

「お前だから言うけど…。俺んち離婚してて、母親と俺だけが家を出てったんだよな」


奏太くんが、安元くんの親が離婚したとは言ってたよね…。


「そうなんだ…」


「で、俺には実は兄貴がいて…。ケンカっ早い俺とは正反対の、クソ真面目な兄貴でさ…。頭もよかったしな。で、春奈は俺より兄貴と仲良かったんだよな。だから出てったのが俺でよかったとも思った」


「そんな…」


「ホントにそーなんだって…。俺が中学んとき、春奈と俺は違う学校だったけど、二人が付き合ってるって、母親からチラッと聞いてさ。それ聞いて、やっぱなー…って思った…」


安元くんの声がだんだん小さくなっていく。







そして、少しだけ沈黙。


静かに地面を踏みしめる音だけが、静かに聞こえてくる。


誰も、安元くんのお兄さんが山田先生だとは言ってないけど、多分…そうなんだって思わずにはいられない。


肝試し前に春奈にハッパをかけたっていうのは、婚約のことだよね…。