【完】君しかいらない

「よく見えねぇな…誰かライト点けて」


男がそう言うと、男の一人があたしから一瞬手を離した。


その隙に、空いた手で目の前の男の顔を思いっきり引っ掻いた。


「痛っ!!何すんだ、テメー!!」


「卑怯者っ!!あたし、こんなことするような人に負けないからっ!!」


寝転がった姿勢のまま、男のお腹を思いっきり蹴り上げて、男がよろけた隙に立ち上がって、走って逃げようとしたら、すぐに追いつかれてしまった。


「逃げてんじゃねーよっ」


ドサッと地面に叩きつけられる。


痛いっ…。


打ち所が悪かったのか、足が痛くて今度はすぐに立ち上がれない。


「上山さん、コイツ足ケガしたんじゃね?今のうちっス」


ケラケラと笑う声が後ろから聞こえてくる。


大丈夫…あたし、立てるよね。


逃げないと…。


必死で立ち上がろうとするけど、恐怖で手と膝がガクガクして、思うように立ち上がることができない。