【完】君しかいらない

こないだチラッと聞こえたのは、


『あの子の母親、繁華街で客引きしてたらしいわよ…。そこの客と、夜逃げしたんだって』






…そーじゃねぇし。


俺の母親は、とある会社で事務員をしていて、そこの若社長に見初められて…。


昔っから父親はほとんど家にいなかったし、帰って来ては、家での喧嘩も多かった。


悩みに悩んで、だした結論は、父親と他人になることだった。


…俺を連れて行こうとしてくれたけど、俺はこのままが良かったから。


陽斗と知り合えたし、せっかく築き上げた今のこの状況を、また一から始めることには、もう、懲り懲りだったから。


若い男を作って、森家から逃げたのは、事実。


だけど、急に出て行った母親のことを、世間は格好のネタにした。