【完】君しかいらない

ビクビクしながらエレベーターの中を見回していたら、安元くんが


「はぁっ!」と、大きくため息をついた。


「えっ、何!?」


「別に。ひとりごと……」


あっ……さいですか。


ため息つかれるのって、すごく気分悪いものだって、今されて気がついた。


あたし、無意識だったとはいえ、さっき安元くんに同じことした……。


きっと、気分悪くしたよね。







「……ごめんね?」


恐る恐る言うと、安元くんはキョトンとしてあたしを見る。


「何でお前が謝んだよ」


「だって……あたしがさっきため息ついたから……」


そう言ったら、思いっきり呆れた顔をされた。