【完】君しかいらない

「あたし、極度の方向音痴で……そっか。コンビニがあっちだから、そうだよね」


「つーか、それ以前の問題じゃね?マンション見えてるし……。周りもっとよく見ろよ」


……はい。ごもっともです……。






あたし、やっぱ安元くん苦手かも。


引っ越してきたばっかだし、初めての土地で、マンションの外観なんて覚えてないもん。


……っていう言い訳は、安元くんには通じそうにない。


ペットボトル持ってもらってるし、口答えするのはやめとこう。


無言になったまま歩く安元くんの後ろを、トボトボとついて歩く。